情報銀行とは?メリットやビジネスモデル、企業事例を紹介

情報銀行とは?

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情報銀行

昨今、データを利活用した新たなビジネスとして注目を浴びているのが、「情報銀行」です。

 

情報銀行とは、ユーザーが登録したパーソナルデータ(名前、住所、購買履歴などの個人情報)を預託し、そのデータを活用したい企業に提供もしくは自社で活用する事業を指します。


2018年に発表された、総務省経済産業省の「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」では、情報銀行とは以下のように定義されています。

 

「個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS(Personal Data Store)などのシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」

 

簡単に言えば、パーソナルデータを預かり、データを利用したい企業に提供したりするデータの銀行のようなものです。

 

企業は情報銀行にあるデータに基づいた顧客分析や、情報銀行を通じた直接的な販促活動が行えます。

 

一方、ユーザー側は、情報銀行にデータを預けることで、割引クーポンやポイントが付与されるなどのメリットがあります。

 

 

そもそも、パーソナルデータを企業が管理する従来の「CMS」とは異なり、情報銀行に登録したデータは、ユーザーが管理することができ、データ提供などはユーザーが同意することが前提であることや、データの即時削除などが可能となっています。

 

このデータの管理主体の大きな変化には、ヨーロッパのGDPRなどプライバシー保護の風潮が背景にあります。

 

 

 

今回は、日本企業ですでに実施されている、情報銀行の実証実験やサービスなどの事例をご紹介していきます。

 

【解説】情報銀行のビジネスモデルとは

 

情報銀行の由来と背景

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AI、IoT 時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ

情報銀行」という言葉は、2017年に公表された内閣官房IT総合戦略室が発表した「AI、IoT時代のデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ」において、「(中略パーソナルデータを含めた多種多様かつ大量のデータの円滑な流通を実現するためには、個人の関与の下でデータ流通・活用を進める仕組みる PDS情報銀行、データ取引市場が有効」との記述で正式に公表されました。

 

情報銀行が誕生した背景には、政府が推し進める社会的なデータの利活用がありますが、GDPR制定などヨーロッパを中心としたプライバシー保護の風潮が高まっていることも、情報銀行提言の後押しにもなっているように見えます。

 

先に結論から言えば、情報銀行のポイントは、「これまで企業が持っていたデータの所有権を、ユーザー本人にした(返した)ということ」です。

 

CRMに代表されるように、これまで企業が保有するデータは、ユーザーデータがユーザーの意思に関係なく、様々な企業に、収集・利用・販売されてきました。しかし、この状態では自分のデータがどのように利用されているかが不透明でした。さらに、データ削除には紙の書類による申請が必要など、データ削除にも高いハードルがありました。

 

これらのプライバシーの課題に対処するために、2018年にEUで制定されたGDPRでは、例えばユーザーが企業側にデータ削除を依頼した場合、72時間以内に削除することを義務付けています。

 

GDPRの主な変更点をまとめてみると、

 

・ユーザーデータ履歴のデジタル閲覧の義務化

・ユーザーデータ利活用の履歴開示の義務化

・削除依頼があった場合のユーザーデータの即時削除

 

などです。つまり、GDPRが目指したのは、企業が持つデータの所有権を本人に返すということです。

 

しかし、企業側にデータがある限りは、企業がユーザーデータを収集・利用・販売するできる状態にあります。

 

そこで「ユーザーデータの収集・利用・販売の可否をユーザー本人に委ねる」という考えが生まれ、情報銀行はまさにユーザーデータの所有権をユーザー本人にしたサービスなのです。

情報銀行のビジネスモデル

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情報銀行_ビジネスモデル

情報銀行のビジネスモデルは、主に以下の2つです。

 

情報銀行を運営する「運営型」

情報銀行のプラットフォームを提供する「プラットフォーム型」

 

現在最も多いなビジネスモデルは情報銀行を運営する「運営型」です。

 

これは、ある企業が運営する情報銀行を活用して、プロモ活動をしたい企業が、システム利用料や、CV率に応じた成果報酬額を支払う体系です。

 

情報銀行を運営する企業は、システム利用料というストック型収益にのみならず、CV率に応じたフロー型収益も期待できます。

 

また、情報銀行は企業のプロモ活動だけでなく、本人証明やデータ真贋性にも利用される可能性があります。そのため、情報銀行に登録したデータを用いて本人証明を実施するサービスの提供企業に対し、情報銀行の利用料を徴収できます。

 

【解説】情報銀行のビジネスモデルとは

 

情報銀行のメリット

情報銀行のメリットは、企業とユーザー両方に存在します。

 

■企業のメリット

①販促費を削減できる

②R&Dに活用できる

③自社商品に興味がありそうなユーザー分析ができる

 

「①販促費を削減できる」は、情報銀行内にあるユーザーデータから抽出した、企業の商品に興味がありそうなユーザーにピンポイントで商品オファーをすることができるからです。

 

情報銀行にあるユーザーデータには、ユーザーの属性や回答したアンケート結果が蓄積されており、自社の商品にマッチしそうなユーザーが抽出できます。

 

つまり、企業が商品を売りたいユーザーに直接アプローチできることによって、無駄な販促費を抑え、効率的なコンバージョンを達成することが可能となります。

 

また「②R&Dに活用できる」は、情報銀行にあるユーザーデータから、新商品に興味がありそうなユーザーに対し、新商品のテスターになってもらい、フィードバックを収集できます。これにより、よりユーザーニーズを反映した商品の開発を実現することができます。

 

「③自社商品に興味がありそうなユーザー分析ができる」は、自社もしくは他社が運営する情報銀行から、自社商品に興味がありそうなユーザーデータを獲得することで、ユーザー分析を行うことができます。

■ユーザーのメリット

①商品を安く買うことができる

②ポイントを商品と交換できる

③自分のデータを管理できる

 

「①商品を安く買うことができる」は、アプリを利用するユーザーには、企業から割引価格の特別クーポンが届くため、通常よりも安く商品を購入できます。

 

「②新商品を先駆けて体験できる」は、企業から来た特別オファーによって、新商品を先駆けて試すことが可能です。

 

「③自分のデータを管理できる」は、情報銀行に登録したパーソナルデータを、自由に管理することができることです。そもそも、情報銀行が設立された背景には、企業が顧客のデータを勝手に販売したり、販促活動に利用しているという課題がありました。一方、情報銀行は、データの在り方を見直し、データの管理をユーザー本人に回帰するというアプローチをとっています。

 

そのため、ユーザーの同意がなければ企業は情報銀行内のデータを閲覧することや、販売することができません。また、ユーザーも自分の情報にいつでもアクセス可能となり、変更や削除も自由に行うことができます。

 

情報銀行を実施中の企業

実証実験も含めて、現在情報銀行サービスを実施・検討している企業は、以下の企業です(2021年5月現在)

 

三菱UFJ信託銀行

三井住友銀行/日本総合研究所

・マイデータ・インテリジェンス(MDI)

フェリカ・ポケットマーケティング

・J.Score

サイバーエージェント

スカパーJSAT

・DataSign

JTB

大日本印刷DNP

NTTデータ

富士通

 

各企業の詳しい事例は、下記記事をご覧ください。

 

【まとめ】情報銀行の企業事例や実証実験まとめ

リリース済みの情報銀行のサービス(toC

情報銀行は、IT連盟が実施する審査による、情報銀行運営の認定制度が存在します。

 

ところが、実はその認定が無くても、情報銀行サービスを提供することが可能です。

 

例えば、すでにリリースされているtoC向けの情報銀行サービスは、以下の2つです。

 

・「dprime」:三菱UFJ信託銀行

・「MEY」:電通テックと○○の合弁企業

Dprime

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三菱UFJ信託銀行_Dprime

dprime」は、三菱UFJ信託銀行が運営しており、行動履歴や資産状況、その他属性データを登録すると、データを見たい企業からのオファーに応じると、ユーザーは企業からのギフト(For You)を受け取れます。

 

MEY

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マイデータ・インテリジェンス_MEY

MEY 」は大手広告会社電通グループの株式会社電通テック電通国際情報サービスによる合弁会社である「株式会社マイデータ・インテリジェンス」が運営する情報銀行サービスです。

 

プロフィールの登録や、生活や趣味についての質問「データコレクション」への回答登録、画像投稿やアンケート回答、データ提供リクエストへの参加などを通じ、アプリ内にポイントが貯まり、グッズと交換が可能です。

 

また、企業からの特別オファーやおススメサービスのリコメンドも受け取ることもできます。

 

情報銀行の今後

情報銀行は新たなデータ利活用のビジネスとして今後の様々な企業が参入を表明する可能性があるでしょう。

 

一方、集めたデータをどう管理するのかや、どうやって活用するのかなど、データ利活用に特有の問題は残り続けます。

 

そのため、今後は情報銀行のシステムを運営する企業と、情報銀行のデータ加工などを手掛ける企業、それらを利用して販促活動を行う企業といった棲み分けがされていくと思われます。

 

【参考】情報銀行関連の書籍

最後に、本記事の作成で参考になった情報銀行関連の記事をご紹介します。

 

・『情報銀行参入ビジネスガイド 利活用ビジネスから事業参入まで』:森田弘昭著

・『MyDataエコノミー』:佐々木隆仁、春山洋、志田大輔著

・『情報銀行のすべて』:花谷昌弘、前田幸枝著

 

   

情報銀行のビジネスモデルとは?

情報銀行とは

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情報銀行

情報銀行とは、ユーザーが登録したパーソナルデータ(名前、住所、購買履歴などの個人情報)を預託し、そのデータを活用したい企業に提供もしくは自社で活用する事業を指します。


2018年に発表された、総務省経済産業省の「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」では、情報銀行とは以下のように定義されています。

 

「個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS(Personal Data Store)などのシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」

 

簡単に言えば、パーソナルデータを預かり、データを利用したい企業に提供したりするデータの銀行のようなものです。

 

ユーザー側は、情報銀行にデータを預けることで、割引クーポンやポイントが付与されるなどのメリットがあります。

 

 

今回は、そんな情報銀行のビジネスモデルについて簡単に解説します。

 

【事例集】情報銀行の事例集はこちら↓

 

情報銀行のビジネスモデル

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情報銀行_ビジネスモデル

 

情報銀行のビジネスモデルを理解するために、まずは情報銀行のプレイヤーについて簡単に抑えておきます。

 

主なプレイヤーとしては、

 

①パーソナルデータを提供するユーザー

情報銀行を運営する企業

情報銀行を利用する企業

情報銀行のシステム/プラットフォームを提供する企業

 

があります。

 

ところで、情報銀行のビジネスモデルは、主に2種類に分類できます。

 

情報銀行を運営する「運営型」

情報銀行のプラットフォームを提供する「プラットフォーム型」

 

情報銀行を運営する「運営型」

情報銀行を運営する「運営型」は、ある企業が情報銀行を運営し、ユーザーの同意に基づき他社にデータを販売したり、情報銀行を利用したい企業から利用料や成果報酬型の料金をもらうというビジネスモデルです。情報銀行の事例の多くがこの「運営型」です。

 

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MEY

例えば、電通グループの合弁会社である「マイデータ・インテリジェンス」が運営する情報銀行アプリ「MEY」というアプリは、ユーザーの同意があれば、登録しているユーザーのデータを見たい企業は利用料などを払うことで、データを分析などに利用できます。

 

つまり、情報銀行を運営すれば、情報銀行内のデータを欲しがる企業から利用料などを徴収できます。また利用料ではなく、企業がユーザーに出したオファーが承諾された時のみ料金を徴収する、成果報酬型も考えられます。

 

加えて、情報銀行にあるデータを、他社に販売することも考えられます。この場合、あくまで販売するデータは同意を得た利用者のみのデータとなり、また利用者はいつでもデータ販売の履歴確認やデータ削除が可能な状態にする必要があります。

 

 

情報銀行のプラットフォームを提供する「プラットフォーム」型

「プラットフォーム型」は、情報銀行を運営したい企業に対し、情報銀行としてのプラットフォームを提供するビジネスモデルです。

 

情報銀行のシステム構築をベンダーに任せることで、自社で情報銀行のシステムを開発せずに済みます。プラットフォームを提供する企業は、プラットフォーム利用企業から利用料などを徴収します。

 

例えば、情報銀行アプリ「paspit」を運営するDataSignは、paspitのシステムを外販することで、他社の情報銀行のサービスを支援しています。ちなみに、ゼロから情報銀行を構築する場合、数千万円の費用が掛かるとされますが、paspitのシステムを利用すれば50万円~情報銀行を構築可能なようです。

 

また、NTTデータ富士通も、これまで培ってきたシステムやインフラ構築の経験を踏まえ、自社で情報銀行を運営するのではなく、他社の情報銀行を構築/運営をサポートするサービスを提供しています。

 


 

情報銀行の今後

情報銀行は個人情報を扱うという観点から、システムには高度なセキュリティ対策が必要となります。そのため、自社で開発が難しい場合も考えられます。

 

一方、自社で情報銀行を運用できれば、自社の販促活動に利用できるだけでなく、他社にも開放することで、利用料を得ることができます。

 

今後は、今回紹介したように、情報銀行を運営する側と、情報銀行のプラットフォームを提供する側に分かれ、各企業が情報銀行を利用していくと思われます。

 

参考文献

最後に、今回の事例集をまとめるにあたって参考になった書籍をご紹介します。

 

・『情報銀行参入ビジネスガイド 利活用ビジネスから事業参入まで』:森田弘昭著

・『MyDataエコノミー』:佐々木隆仁、春山洋、志田大輔著

・『情報銀行のすべて』:花谷昌弘、前田幸枝著

 

情報銀行の企業事例や実証実験まとめ

情報銀行とは

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「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」より引用

情報銀行とは、ユーザーが登録したパーソナルデータ(名前、住所、購買履歴などの個人情報)を預託し、そのデータを活用したい企業に提供もしくは自社で活用する事業を指します。


2018年に発表された、総務省経済産業省の「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」では、情報銀行とは以下のように定義されています。

 

「個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS(Personal Data Store)などのシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」

 

簡単に言えば、パーソナルデータを預かり、データを利用したい企業に提供したりするデータの銀行のようなものです。

 

ユーザー側は、情報銀行にデータを預けることで、割引クーポンやポイントが付与されるなどのメリットがあります。

 

 

 

 

 

今回は、日本企業ですでに実施されている、情報銀行の実証実験やサービスなどの事例をご紹介していきます。

 

【解説】情報銀行のビジネスモデルとは

 

maguro-multitask.hatenablog.com

 

【まとめ】情報銀行の企業事例や実証実験

ここでは、以下の企業の情報銀行の事例をご紹介していきます。

 

三菱UFJ信託銀行

三井住友銀行/日本総合研究所

・マイデータ・インテリジェンス(MDI)

フェリカ・ポケットマーケティング

・J.Score

サイバーエージェント

スカパーJSAT

・DataSign

JTB

大日本印刷DNP

NTTデータ

富士通

 

三菱UFJ信託銀行

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Dprime

 

三菱UFJ信託銀行は、2020年より情報銀行アプリ「Dprime」をリリースしました。

 

「Dprime」では、生活や趣味、資産状況や行動履歴をアプリに預けると、あなたのデータに興味を持った企業からオファーが届きます。

 

オファーに応じると、企業にデータが公開される一方、対価として特別クーポンや電子マネーが付与されたり、オファー企業が提供するサービスを格安で受けられます。

 

【例】オファーとギフト

オファー:

コロナの影響でリモートワークを開始したユーザーに対し、旅行会社がオファー

 

ギフト:

ユーザーに最適なワ―ケーションの体験プラン

 

三井住友銀行/日本総合研究所

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SMBCグループにおけるデータ利活用と情報銀行への取り組み

2018年に三井住友銀行日本総合研究所は、大阪大病院と共に、情報銀行にかかる実証事業を受託し、事業化へ向けた実証を開始しています。

 

この実証実験のポイントは、

①医療データを個人に返すことにより、

②個人の意思に基づく医療データの共有を可能とし、医療サービスの質と効率性を向上させること、

③個人が自らの意思でデータを利活用し便益を得ること、

が挙げられています。

 

具体的な事業内容としては、

・個人情報に当たる医療データを取り扱う際の、法務面やシステム面、ユーザー面、さらにビジネスモデル面について、情報銀行が要件を整理

・スムーズな医療データのデジタル化や、安全にPDSに保管する機能の提供

PDSにあるデータの医療面での活用に対するユーザーへの対価

などを検討しています。

 

マイデータ・インテリジェンス(MDI)

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MEY

マイデータ・インテリジェンス(以下、MDI)は、電通のグループ企業として2018年に設立された、データの利活用事業を中心に手掛ける企業です。

 

2019年には、情報銀行サービスのマイデータ・バンク「MEY」をリリースし、C向けの情報銀行サービスの先駆け的存在でもあります。サービス開始から、1ヶ月ですでに5万人のユーザー獲得に成功しています。

 

「MEY」では、ユーザーがパーソナルデータを登録するか、日常生活の写真の投稿など特定のアクションを達成すると、MEYポイントが付与され、貯まったMEYポイントは、グッズや、QUOカードPayなどのデジタルギフトと交換することができます。 

 

フェリカ・ポケットマーケティング

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ワタシポスト

フェリカ・ポケットマーケティングは、Suicaにも利用されている「Felicaフェリカ)」などのICTを活用し、地域活性化ソリューションを提供している企業です。

 

例えば、2021年2月には神奈川県と提携し、情報銀行アプリ「ワタシポスト」をリリースしています。

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ワタシポストアプリ

まずユーザーは「ワタシポスト」内にある「ワタシライブラリ/ワタシコンタクト」に、パーソナルデータを登録します。預けた情報の開示可否は、カテゴリー別に全てユーザー側が決定します。開示に同意すると、地域の企業や店舗などから、お知らせやクーポン、アンケート、さらに広告などが配信されます。

 

さらに、QRコードでポイントの受け取りが可能であり、イベント等でポイントを付与しされていきます。貯まったポイントは、電子マネーWAON」が当たる抽選参加などに使えます。

 

さらに、「ワタシSDGs」として、日々のSDGs(持続可能な開発目標)に関する行動をセルフチェックすると、1日1回ポイントが貯まります。

J.Score

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J.Score情報銀行認定事業者 としての取組について

J.Scoreは、みずほ銀行ソフトバンクのジョイントベンチャーとして2016年に設立された企業です。主にAIによるスコアレンディング事業を手掛けています。

 

2019年には、情報銀行のサービスを提供する段階にあると認定される「P認定」を、情報銀行の認定を付与する日本IT団体連盟より受けました。

 

現時点でJ.Scoreは、「個人のライフスタイルの充実と成長を後押しし、それを応援する企業をサポート」というデータビジネスの在り方を示しており、それらを新たな「情報提供サービス(仮称)」で実現するようです。

 

 

サイバーエージェント

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サイバーエージェント_データフォワード

2019年、サイバーエージェントのアドテクノロジー分野を担うアドテクスタジオは、ユーザー個人が自分の意思でパーソナルデータを、様々な価値に変えることができるデータ流通プラットフォーム「Data Forward(以下、データフォワード)」を発表しました。

 

データフォワードは、パーソナルデータをユーザー自身で管理・価値交換できる、ブロックチェーン技術を活用したデータ流通プラットフォームです。

 

具体的には、ユーザーがパーソナルデータの提供先を常に把握できることや、データはギフトカードなどに交換可能なポイントに交換可能などのメリットがあります。

スカパーJSAT

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スカパー!情報銀行

スカパーJSATは、情報銀行の実証実験として「スカパー!情報銀行」実施しました。

 

スカパー!情報銀行」は、2500人のスカパー! 契約者のパーソナルデータを活用し、参加者が開示許諾した契約/視聴状況、アンケート、購買履歴などをもとに、スカパー!の番組情報や、データ活用企業の広告・サービスを提供するものです。

 

データを開示した参加モニターには、情報開示と引き換えにスカパー!視聴料が割引されるというメリットがありました。

 

DataSign

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paspit

DataSignは、楽天AmazonなどのECサイトのログイン情報を記録するアプリ「paspit」を運営しています。

 

「paspit」にログイン情報を登録しておけば、ECサイトなどのログインがスムーズになることに加え、ログイン情報忘れなどを防ぐことができます。

 

ちなみに、paspitは、総務省が定める情報銀行の認定制度において、日本初の通常認定を受けています。

 

この「paspit」は、他の情報銀行サービスと同様に、企業からのオファーに対し、情報開示に同意することで、企業がアプリ内のデータを閲覧することができます。

 

またDataSign社は、情報銀サービスを運営したい企業に、「paspit」のシステムを提供するなどしています(上述の「スカパー!情報銀行」は、このpaspitを利用)。通常は数千万かかる情報銀行のシステム構築が、paspitのシステムを利用すれば、約50万円程度で済むようです。

JTB

 

JTB大日本印刷(以下、DNP)と、2018年12月にパーソナルデータを情報銀行で集約・活用する「次世代トラベルエージェントサービス」を共同で開発し、東京の上野エリアと京都の岡崎・蹴上及び周辺エリアでの実証事業を実施しました。

 

「次世代トラベルエージェントサービス」の実証実験では、東京・上野の商店街で、スマホアプリを通じて回答してもらったアンケートを参加店舗に送信し、自分のお店の興味がありそうなユーザーに、店側からリアルタイムでオファーを送るというものです。

 

リアルタイムにユーザーに情報送信できることが強みですが、店舗側がITサービスに不慣れな点や、アプリのUI/UXの点でも課題が残ったようです。

 

両社は2017年に、すでに「京都まちぐるみコンシェルジュサービス実証」として、共同で情報銀行の実証実験を実施しました。DNPが持つ書店向けの会員サービス「honto」のユーザーデータから最適な旅行プランを提供するという実証実験で、概ね良好な反応があったようです。

 

大日本印刷DNP

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地域型情報銀行

大日本印刷(以下、DNP)は、VRM(Vender Relationship Management)を通じ、情報銀行のプラットフォームを提供し始めています。

 

VRMは、CRMと対置に置かれ、ユーザー情報を企業が管理するのではなく、ユーザー自身がデータを管理するためのプラットフォームであり、まさに情報銀行のポイントを体現した概念です。

 

 

例えばDNPは、中部電力と愛知県豊田市、さらに地元企業3社の共同で、特定地域に特化した「地域型情報銀行」サービスの実証実験を実施しています。

 

これは、中部電力の家庭向けWebサービスカテエネ」の電力使用量のデータや、パーソナルデータ、さらに家庭に設置された体組成計などのデータを、ユーザーの同意のもと、地元のスーパーやショッピングセンターなどの事業者に提供します。

 

各事業者は、体組成計のデータから健康課題などを分析し、課題解決のための食品などを提案します。また、山間部などに住む高齢者に食品を届けるなどのサービスも実現しています。

 

さらにDNPは、電通グループのマイデータ・インテリジェンスとともに「ヘルスケア型情報銀行のビジネスモデルの構築と普及促進」の実証実験や、富士通とパーソルキャリアと共同で「副業マッチングサービス(後述)」の実証実験を行うことも発表しています。

 

NTTデータ

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NTTデータ_実証実験

NTTデータは、情報銀行システムのインフラ構築に注目しており、様々な企業との共同実験を実施しています。例えば、先ほどの三菱UFJ信託銀行の「Ⅾprime」のシステム構築をNTTデータが手掛けています。

 

また、2019年2月には、東京海上日動火災保険など複数企業と共同で、情報銀行の要となるパーソナルデータの独自の実証実験も実施しています。これは、Webで集まった参加モニターにパーソナルデータを預託してもらい、企業への開示許諾をユーザーが承認すれば、企業にデータが提供されるというものです。

 

注目すべきは、最初に預託されたパーソナルデータは、そのまま情報銀行に登録されるのではなく、一度モニターに返却され、その後改めてモニターのデータ登録で情報銀行に登録されるというスキームを取ったことです。

 

このスキームの目的の1つ目は、ユーザーに自身のデータ運用が企業ではなく、自身にあることを体験してもらうことであり、2つ目は企業側からすると情報銀行にデータを渡していないので(ユーザーが自分で登録しているので)、第3者提供に当たらず、トレーサビリティなどの管理をせずに済むというメリットがあることです。

 

 

 

富士通

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富士通_実証実験

富士通は2017年にイオンフィナンシャルサービスなどの企業と合同で、日本初の情報銀行の実証実験を行っています。

 

この実証実験では、富士通社員500人がパーソナルデータを情報銀行に預託し、同意に基づきデータを参加企業に提供する一方、インセンティブとして本社オフィスの近隣店舗で利用可能なクーポンと交換できる「FUJITSUコイン」を付与しました。

 

他にも富士通は、以下のような実証実験やサービス提供を実施しています。

 

タイムフィリング(電通と共同):

GoogleカレンダーPDSに登録すると、カレンダーの空き時間を有意義に過ごすサービスを提携事業者がリコメンドしてくれます。このサービスは実際に、三菱地所との共同プロジェクト「丸の内データコンソーシアム」に採用され、丸の内のビジネスパーソンの空き時間に個人の趣味・嗜好にあった丸の内イベントを紹介する「スケジュールマッチングサービス」に応用されています。

 

副業マッチングサービス(DNP、パーソルキャリアと共同):

情報銀行を利用した「副業マッチングサービス」は、副業をしたいビジネスパーソンと、副業を受け入れ可能な企業をマッチングするサービスです。これは自分のスキルを情報銀行に登録すると、興味を持った企業からオファーが来て、最適なマッチングを目指す一方、副業を探している人のスキルを証明することにもつながります。

 

ブロックチェーンを使用したプラットフォーム機能:

富士通が持つPDSサービスとブロックチェーンサービスを組み合わせた情報銀行のプラットフォームサービスです。情報銀行にとって重要なデータ提供などの「同意の取得」の部分に、ブロックチェーン技術を取り入れることで、同意に関する情報を安全に記録することが可能となります。

 

参考文献

最後に、今回の事例集をまとめるにあたって参考になった書籍をご紹介します。

 

・『情報銀行参入ビジネスガイド 利活用ビジネスから事業参入まで』:森田弘昭著

・『MyDataエコノミー』:佐々木隆仁、春山洋、志田大輔著

・『情報銀行のすべて』:花谷昌弘、前田幸枝著

 

テスラがビットコイン(BTC)の支払いに対応

ロゴ・アーカイブ】№47 Tesla(テスラ)_自動車&バイク | BRANDING TAILOR

テスラ社のイーロンマスク氏が、テスラ車をビットコイン(BTC)で購入可能になったことを明らかにしました。

 

2021年2月に、マスク氏はテスラ車購入時のビットコイン決済を示唆しており、その発表を受けてBTCの価格も上昇しました。

 

 

なお、テスラHPとイーロンマスク氏のツイートから、現在判明しているBTC決済に関する情報は以下の通りです。

 

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テスラ社HP:Bitcoin

■決済に使えるのはBTCのみ。他の暗号通貨は現在不可能。

■BTC決済が利用できるのは米国のみ。翌年以降から他地域でも対応

■BTCで購入する場合は、必要金額のBTCを保有したウォレット情報が必要

■決済時は、制限時間内に画面上に表示されたQRコードをスキャンするか、自分のウォレットコードを入力して決済

■BTC決済はテスラが持つノードで管理

■決済に利用されたBTCはBTCのまま保有し、法定通貨には交換しない

 

なお、テスラ社は2021年2月に、約1500億円分のビットコインを購入したことを公表し、これがBTCの価格上昇につながったとされています。

15時間勉強でITパスポート試験に情報系ド素人の文系大学生が合格した話

ITパスポートを受けることに

 

「ITパスポート受けるか」

 

IT系企業に内定をもらっているので、さすがに基本的なIT知識が無いのは問題があると思い、ITパスポートを受けることにしました。

 

ITパスポートを選んだ理由は、IT知識が皆無の人間でも受けやすいことと、合格率が極端に低いわけでなかったからです。

 

あとは、試験日が年中あることでしたね。

 

Google検索では「150時間」の勉強が必要?!

さて、実際に受けるとなるとどのくらいの勉強時間が必要か気になったので、Google検索で「ITパスポート 勉強時間」と調べると、TOPのページにこんな文面が。

 

情報処理の知識がほとんどない初学者の場合、ITパスポート試験の合格には約180時間程度の勉強時間が必要です。1日2時間の勉強時間として計算すると約3ヶ月ほど掛かる見込みになります。

 

studying.jp

 

え、うそでしょ。180時間?!

 

嘘だと思った根拠は、以前理系の友達が「1週間勉強して受かった」と言っていたのを聞いていたからです。

 

彼は、情報系の勉強を大学で学んでいたので、確かに1週間で受かったてもおかしくありません。

 

しかし、情報系に詳しい彼が1週間であるのに対し、情報系初心者が3ヵ月なのは、少しおかしい気がしました。さらに、合格率も50%だし。

 

ということで、何を思ったか「まあ、2週間ぐらいで受かるかな」と見立てを立て、さっそく2週間後の日時に申し込みをしました。

 

友達が1週間で受かったことや、試験日が年中となると先延ばしする可能性があると思ったので、2週間で合格してやろうと勝手に決めました。

15時間で受かった勉強法

ここからは試験日までの2週間で勉強した15時間について話します。

 

ちなみに2週間なのは勝手に決めましたが、15時間はあとで集計した分かった勉強時間です。決して15時間で受かるというわけでないです。

【1週間目:インプットのみ】

最初の1週間はKindleで見つけた教材を使って知識をインプットしました。

 

教本は7章まであったので、1日1章ずつを大体1時間ほどでインプットしました。

インプットといってもパラパラと教本の内容を眺めただけです。

 

時々、重要だと思った部分はテキトーにルーズリーフにメモした程度です。

そのルーズリーフも結局その後見なかったので、ムダだったかもしれませんw。

 

こんな感じで最初の1週間は7~8時間くらいで、ITパスポートの教本の内容をインプットしました。

 

【2週間目:ひたすら過去問】

さきほど紹介した1週間でITパスポートに合格した友達の勉強法は「ひたすらITパスポートの過去問を解くこと」だったようです。

 

そこで、2週間目はひたすらITパスポートの過去問を解きました。

過去問集もKindleにあったので、演習しまくりました。

多分、3周くらいしたと思います。

 

過去問を使った勉強方法は簡単で、問題と回答を眺めるだけ。

もちろん、心の中で回答もしますが、最初の方はほぼ全滅。正答率は30%ぐらい。

 

その後、回を重ねるごとに正答率もUP(もちろん、いくつか回答を覚えてしまっているものもありますが。)

 

とまあ、ここまではただ量をこなしているだけなのですが、最も重要なことが一つ。

 

それは、過去問の間違えた問題の回答をスクショしておくこと。

これが本番前でもっとも役に立ちます。

 

自分が間違えた問題の回答のみを見返すことで、弱点補強&勉強の効率化が図れます。

おかげで、iPhoneのフォルダは過去問のスクショだらけになりました。

 

直前までは教本や過去問演習ではなく、このスクショばかりみて直前対策をしました。

 

試験当日

さて、2週間たってようやく試験当日。

ITパスポートは120分で4択問題を100問回答するという試験。

PCを使って回答します。

 

実際に本番になると、速攻で答えがわかるものと、ハッキリと答えを決められない問題に分かれます。

 

ただ、合格ラインが60%だと知っていたので、合格ライン+10%の70%、つまり10問中7問を確実に解ければ合格できると思っていました。

 

回答が30分で1巡してしまったので、見直しを開始。

見直しを2回やって、残り30分となりました。

 

さすがに70%は取れていると思い、時間ももったいなかったので、解答終了を選択し、その場で採点開始を確認。

 

5秒後に出た採点結果は、690/1000。

 

(多分)60%の600/1000を超えていたので、合格です。

 

ちなみにITパスポートは、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野に分かれ、それぞれでも合格ラインが300/1000の30%以上と決められており、これは採点結果が出た時に初めて知りました。

結果的に全てクリアしていたので、事なきを得ましたが。

 

意外な助け船

実は今回合格した秘訣として特筆すべきことがあります。

それは、時事ニュースがかなり役立ったこと。

 

ITパスポートでは、情報系の知識のみならず、IoTといった最新技術や企業ガバナンスなど様々な分野から出題されます。

 

これらの内容を暗記することも大事ですが、日頃から日経新聞などの時事ニュースを頭に入れていたので、この辺りの問題はすぐに答えることができました。

 

意外と世間で知られていることも出題されるので、そこは確実に得点源にすると良いでしょう。

教材紹介

実際に使用した教材を紹介しておきます。

この2冊だけあれば十分でしょう。

 

教本

 

過去問